迷信の作物

誰かが、マメの根には薬効があると言いました。


また葉も薬になると言いました。


茎は炭にすると薬になるとも言いました。


一つの作物のさまざまな部分に、神秘な効き目のあることを信じました。


そして、各部分におこる小さな変化を目ざとく察知しながら、この迷信の作物を育てていきました。


野生のダイズ、ツルマメは日木列島を東端として、朝鮮半島、中国の東北部、河北省、山東省、湖北省、そして一部はヒマラヤ地方まで分布しています。


いつも人間の生活圏内を放浪している野生植物です。


しかし人間が手を差し伸ばしたら、すぐ作物になるかというと、そうではありません。


そこには、野生型と栽培型との間に横たわる、大きな較差を思い知らされるのです。


組織に属するとき 5

たしかに今は低成長で物事にチャンスが少なくいちど失敗すると取り返しがつかないものです。


高度成長の時代だと仕事や商売も次から次へ湧出してきて、一つのことで失敗してもすぐリカバリーできました。


いまは失敗できないので、失敗しない心がけだけが先行しています。


しかし"安全"だけにスティック(固執)していたのでは進歩がありません。


「こういう時代には積極的にやっていても失敗しないだけの自然体というか、そこまでの修練と能力涌養が必要だね」


・・・先輩は塀の外にまで枝を張ったコブシの白い塊りを窓越しに眺めながら、機嫌よく言葉を結びました。


「今日のお話は経営者の心がけというより、老いも若きもサラリーマン全般に役立つ哲学だとおもいます」


私は手帳を閉じて内ポケットにしまうと、お茶をすすりました。


先輩の話で興奮した喉ごしに、冷たい番茶がいたって気持ちよかったです。

組織に属するとき 4

馴染の店で変なものをつかまされたり、高いものを買わされると極めて不愉快ですが、一見の店で失敗しても仕方がないと諦められます。


新しい試みなら失敗してもともとだし、ひとから非難されたりモノ笑いになることもありません。


道だって未知のルートなら珍しい掘出物にめぐりあうかもしれないし、新しい発見があるかもしれません。


たとえ迷ったり、行き止まりであっても一つの経験がふえることだけは確かです。


自分のできることだけに閉じこもるのは損で発展性や可能性を自分で摘むようなものです。


気楽なほうへ、馴れたほうへと過去の実績にしがみついていたのでは発展がありません。


「そんな生活なら、思いきって捨てたほうが新しい展開が期待できて、人生がビビッド(生き生きする)になるだろう」


組織に属するとき 3

借金は期限前でも返済する。


飲み屋のツケは請求書がきたらすぐ払う。


どうせ払わなければならない税金ならできるだけ早く納税をすませる。


断わりや謝りにいかなければならないことはさっさとかたづける。


逃げられないことややらなければならないことはどんどん決断し、早く処理してしまう。


・・・このほうが心に負担が残らないだけでもいいのです。


「とくに好ましくないことはいつでも心の隅に引っ掛かっていて気が重いが、思いきってかたづけてしまうと、すうっと心が軽くなる。


こういう経験は誰でも持っているだろう」

「あれもすんだ、この仕事もかたついた、と思うのは実にいい気分ですからね。


さあ次の仕事もかたづけるぞ、という新しいファイトも湧きますしね。


社長業にはとくにその気分の軽さが必要なんでしょうね」


「それとともに気分の積極性だね。


ボクは昔から、どっちでもいいことなら未知のほうをとることにしています。


商売は別だが個人の買物のときなど、できるだけ初めての店で買う。


レストランなんかでもそうだ。


昼食など近いところで手っ取り早くというときには行きつけの店でということももちろんあるが、そのほかは行きつけの店や馴染の店というのはすくないね」


組織に属するとき 2

先輩は物理学者で南極越冬隊長だった西堀栄三郎氏の話をしました。


西堀栄三郎氏はアイディアの発想法として、ひとがなにかの意見をいったとき、いきなりイエス・ノー、あるいは是非善悪、良否の判断をせず、いちおうは"それもええな"で受けることにしているといいます。


是非善悪の結論をだしてしまえば、すべてはそれで終わりですが、いちおう"それもええな"で受けると、今度は"それが何故ええのか"という理山を自分でも考えなければならなくなります。


・・・ここに思わぬ発想が生まれてくる可能性があります。


人間はどうしても自分の型にはまった固定的な考え方をしがちです。


あるいは慣れた手順で何回も洗練されて安全を確かめられている方法、時には先入主や思い込みでしか仕事をしません。


こういう次元からは新しいアイディアや独創性は出てきません。


・・・ところが他人から思いもかけない意見をだされ、それを思考の出発点とすると、そこから発想の芽が生じ、それを育てていくと思わぬアイディアに至るというのが西堀氏の"それもええな"理論です。


「部下の意見をフランクにきくというフレキシビリティのあるうちは経営者としても大丈夫でしょうが・・・」


「それもあるが、ボクは昔から物事は早く処理してしまうに限ると思っています。


それが経営者としても精神衛生上いいことだとおもうね」

組織に属するとき

"効果的な人材登用を行うため、仕事を分割し、長に応じた組織規模にする"


"他人のメシを食ったり、子会社なら経営者として出向してこそ企業人として完成する"


"地味な経理や事務部門にくらべて、派手な営業が引退時はいちばん寂しいと覚悟せよ"


"人間常に生き生きと真剣に取りくんでおれば、デビル(悪魔、厄病神)のほうが逃げる"


"サラリーマンは時として脇役に徹することも必要。漁夫の利を占めるのは常に脇役"


「・・・まだまだたくさんありますが、これらのうちで先輩自身がいちぽん気に入っていたのはどれですか」


「いちがいにはどれが好きだとはいえないが・・・


さきほど"社長の辞める時"という項目があったが、社長は絶対権者なんだから、誰からも辞めさせられない・・・


それだけに自分なりの辞める基準なり潮時、あるいは徴候なり条件なりを予め設定しておくことが必要だろうね」


「たしかにそれは社長にかぎらず、独立独歩の自営業や政治家など名誉職の入にもいえますね」


「たとえば統率者の要件として、細かいことに口出しせず、要所要所を押さえ、指示や命令に一貫性をもつ。


あるいは部下の意見をフランクに聞くなどの条項があるが、その一つにでも反するような言動がでてくると要注意だね」


シンデレラと時計の話 2

そうした約束をヨーロッパの人びとがスムーズに受け入れてきたとすれば、それはヨーロッパのどんな時代なのでしょうか・・・。


これが私の「シンデレラ物語」に対する素朴な疑問です。


・・・それでは「シンデレラ物語」はいつごろの話なのでしょうか。


この話は元来、「眠れる森の美女」「赤ずきんちゃん」などとともに、17世紀フランスの作家シャルル・ペローが民話から取材した童話の一つなのです。


岩波文庫からも『ペロー童話集』が出版されていますね。


それをみると、「シンデレラ物語」は「サンドリヨンまたは小さなガラスの靴」と題して収められています。


その書き出しは、「むかし、ひとりの貴族がいて・・・」となっています。


ペローが『ペロー童話集』を編集出版したのは1697年のことですから、「むかし」といえば、常識的にみて当時の人びとが生まれる以前・・・


つまり少なくとも17世紀以前のことを指すと考えてよいでしょう。


D&G 時計が生まれるずーっと以前の話ですね。


シンデレラと時計の話

シンデレラの話で私がとくに興味をひかれるのは、時間を守るという仙女との約束です。


しかもその約束には、約束の時間に1分でも遅れると魔法が切れるという、きわめて厳しい罰則がついていた点です。


1分でも遅れてはならないという厳しい時間の約束であれば、その時間の客観的な正確さを保証するものがなければなりません。


それを保証したものはいったい何であったのでしょうか?


シンデレラの話ではそれは機械時計ということになっていますが、当時の機械時計はほんとうに正確な時間を刻んでいたのかどうか・・・。


まだD&G 時計のような腕時計などがなかった頃の話ですよ。


またその時間がみんなの共通の時間になっていたのでしょうか。


現代のように時計が広く普及して、すべてのものが共通の正確な時間で秩序的生活をしている時代でも、集合時間に遅れてくるのは日常茶飯事です。


・・・そのことを考えると、シンデレラのお伽話が、厳重な時間の約束を中心に構成されていることの社会的意味は重要です。


軍需重視の戦略転換 4

前回のべたのは、いわゆる輸出主導型発展戦略と呼ばれるものです。


韓国、台湾、香港などNIES(新興工業経済地域)諸国が60年代から70年代にかけて採用し、急速な経済発展に成功を見てきた戦略でした。


しかし、88年7月に中国経済が消費過熱から、1か月だけで18パーセントを超える物価上昇を起こして悪性インフレ気配を強めた結果、趙紫陽の経済政策に対する批判が強まりました。


早くも8月には経済政策の実権が趙紫陽から剥奪され、李鵬と挑依林の手に移る勢いとなっていました。


・・・こうした最中に、新たに登場したのが同年8月に党中央・国務院が連名で提起した「《たいまつ》計画」と呼ばれる新計画でした。


この計画の本旨は、ハイテク技術に関して従来のように単に技術研究・開発に重点を置くだけでなく、さらに自前でハイテク商品の生産に踏み切り、そのためにハイテク産業の育成発展の推進をめざす戦略に移行するというものでした。


むろん中国のハイテク産業は、こうした計画にもかかわらずインフラ(基盤施設)の不足や技術者不足、資金不足などもあって目下のところ到底、自前で成り立つような状況にはありません。


しかし、こうした計画がすでに決定され実施に移されていたということが、現在、湾岸戦争のあおりを受ける形で産軍複合体構想までが登場する背景になったこともまた確かです。

おすすめかもしれない映画

こんにちは。


今日は、『鍵 (THE KEY)』という映画について書いていきたいと思います。


この間、プロジェクター レンタルをしてこの映画を観たので。


谷崎潤一郎の『鍵』は、最近の川島なお美が主演した作品以前に3回も映画化されています。


時代を超えてウケるものはエロしかないのか、特に日本映画では・・・。


最初の市川毘作品、2度目の神代辰巳に続き、3度目のこの作品は60年代から成人映画一筋に撮り続けた木俣尭喬が監督。


さて、死に様・・・。


多少なりとも美学を学んだ男ならば、考えずにはおれない美の最終作品です。


"前のめりの姿勢で死にたい"


"家族に見守られながら、妻の手を取り、おまえのおかげでいい人生だった、おまえ百までワシャ九十九まで"・・・。


そして、どの場合も「悔いを残して死ぬ場合」と「大往生」とがあります。


『鍵』におけるファンファンの死に様。


ボケと戦うためにSEXしまくる彼。


今際の時、ファンファンは泣きながら、奥さんの乳にしゃぶりつきます。


そして、全裸の嫁(松尾嘉代)はファンファンにポラロイドカメラを手渡し、大股を開きます。


最後の力をふりしぼって彼はシャッターを押すのです。


暗い寝室にストロボが光り、ファンファンは息絶えます。


・・・男の死に様ですね。


しかし、出来上りのポラを見ずに絶命した彼に悔いはなかったのでしょうか?


微妙な所ですね。


命を賭けてビラビラ写真を撮る男と、葬儀の日に喪服でオナニーしまくる妻・・・。


男と女の美学は死線を越えても融合しあうことはないのです。

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